〜人を大切にする企業は、人から愛される企業に〜
代表取締役 西渕 正和さん
■地方都市で求められる地域との関わり
目の前に流れる吉野川、そして背後には阿讃山脈がそびえ、豊かな自然を誇る徳島県中西部の阿波市。ここで半世紀にわたって屋根瓦を作り続けてきた「西渕スレート工業所」は、近年では住宅の躯体や基礎も手がけるようになり、住まい全般のスペシャリストとして地域の人々からの信頼を集めています。
社長の西渕正和さんは、ラグビーで鍛えたがっしりした体と「One for all. All for one.」の精神を武器に、住まいの夢をカタチにする企業として会社を引っ張っています。そんな西渕さんが掲げる経営理念は、「誠実、信頼、連帯」。スタッフや地域社会から信頼されるためには誠実であるべきで、その信頼関係から強固な連帯感が生まれる、という意味です。
■自分が働きたくなる会社
「昭和61年に父親の体調不良を理由に突然会社を継ぐことになったのですが、当時職人が3人しかおらず、就業規則も無かったので社内の雰囲気もあまり良くなく廃業寸前の状態でした。たくさん仕事をすれば良い会社になるだろうと仕事を取ってきても、今度はそれだけの仕事を
こなせる人がいない。それなら人を新しく雇おうと思っても、これがどうにも人が集まらない。どうしてかと考えたら、労働環境が悪いからじゃないかと思い立ったんです。就業規則も無い、何も整っていない会社で、これからの自分の生活や人生を賭ける人はいないでしょう」。そう話す西渕社長は、年間休日の設定や、男女で差別の無い賃金体系を作り上げました。どちらも今では当たり前のように思われていますが、当時は一部の大企業で導入が検討されていた程度。ほとんどの企業が導入できていなかったのが実情で、導入を決断した西渕社長自身も「本当
にこんなことをして、会社はやっていけるのか」と足が震えたそうです。
しかしそんな革命的な労働環境の整備の甲斐あって、新卒から女性、高齢者まで様々な社員が入社しました。その後も育児休業制度や変形労働時間、定年の引き上げ(65歳定年、現在は希望者全員が健康である限り定年を超えても年齢制限なしで勤務できる継続雇用制度を導入)など他社に先駆けて労働環境の見直しを進めるなど、西渕社長による働きやすい会社づくりは今も続いており、その成果は勤続10年以上の社員も多いという定着率の良さや、高年齢者雇用開発協会から優秀賞を受賞などの実績を見れば一目瞭然です。
■経験豊かなスペシャリストを育てる
「社員に優しい環境を作ろう」と思えば会社にいくらか負担がかかってきますが、それを敢えてやってきたから社員が喜んで働いてくれる今の会社があるんだと思います。阿波市は地域的に人が集まりにくいから、快適な環境を作ることで社員に長くいてもらうことは、会社にとってこの上ない利益になると考えています」。ただ長くいてもらうだけでなく、業務に必要な資格をできる限り社員に取らせてステップアップさせるなど、少数精鋭による効率的な事業を念頭に置いた教育が、とても強靱な組織力を会社に与えています。
■地域のために自分たちができること
また阿波市でおなじみの風景となっているのが、「西渕スレート工業所」の社員たちによる清掃の様子です。毎月1回、始業前に会社の前を流れる日開谷川の川原や周辺道路の清掃は、「少しでも地域の役に立つことができるなら」と、15年ほど前に社員から発案されたのだそうです。最初は2トンのダンプがいっぱいになるほどのゴミが集まりましたが今では落ちているゴミも減り、その量は小さなゴミ袋1つで十分なほどすっかり少なくなりましたし、隣接する他の会社でも同じ動きが広まっているそうです。
地域をきれいにするために尽くしてきた「西渕スレート工業所」の社員の努力が、いつの間にか住民の心もきれいにしてきたのかもしれません。こうやって西渕社長が目指す「誠実、信頼、連帯」の理念は社長から社員、そして地域住民へと、着実に広がっています。
<株式会社西渕スレート工業所>
徳島県阿波市阿波町平川原南18番地
TEL 0883-36-3228
FAX 0883-36-5984
【創業】 昭和30年11月
【資本金】 1000万円
【従業員数】 約20名
HP http://www.nishibuchi.co.jp/
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