2011年03月25日

NPO法人ワークスみらい高知

【NPO法人ワークスみらい高知】

〜多くの障がい者が一般就労できる社会になれば、自分たちは必要なくなってもよい〜

代表 竹村 利道さん

 昨年12月、高知市の中心商店街・帯屋町にオープンした「土佐茶カフェ」。開店から多くの人で賑わう同店を始め、高知県内でお弁当屋さんやカフェなどを運営し、障がい者の雇用を積極的に支援する「特定非営利活動法人 ワークスみらい高知」の代表、竹村利道さんにお話を伺いました。
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 ■福祉の道に進むことのきっかけは?
 高知県出身の竹村さんにとって、帯屋町は子どもの頃から馴染み深い場所でした。遊びに来たり、親と一緒に買い物したりと帯屋町を歩く中、障がいを持った人の姿を度々見かけ、彼らのために何かできることはないかなと漠然と思っていたそうです。その後、TVで放送されていた「24時間テレビ」を見て、福祉の道に進むことを決意し、駒澤大学文学部社会福祉科に進学。
 同大学卒業後、高知市内の病院でソーシャルワーカーとして働き始めました。


■希望を胸に転職した先で知った、驚愕の現実
 志を持って働く竹村さんですが、退院した患者が社会に馴染めず数ヶ月もしない内に再入院するという現実を知ってしまいます。「病院で医療を施しても、受け入れる地域に受け皿がないと意味がない」と病院を退職し、高知市社会福祉協議会に転職にしました。
 しかし、そこで「障がい者に何かしてあげる」という目線での福祉のあり方にぶつかります。
 ティッシュや割り箸の袋詰めなど「この程度の仕事しかできないだろう」という固定観念で障がい者に与えられる作業内容。それを時給50〜100円の賃金でも仕方ないと行う障がい者。そして、そういった現実の中、障がい者や彼らの家族から先生と慕われ、毎月高い給料を受け取っている自身の存在… 葛藤と憤りを抱えながらもその場所に居続ける自分に矛盾を感じる日々を15年間送り、竹村さんは、2004年に高知市社会福祉協議会を退職しました。


■世の中そんなにうまくはいかない
 退職後、竹村さんは「特定非営利活動法人 ワークスみらい高知」の活動を本格化していきます。有限会社を設立し、障がい者の就労支援のためにパン屋などの経営を始めますが「うまい話はない、世の中甘くはないということを思い知らされました」と竹村さんは当時を振り返ります。譲渡された事業が聞いていた内容と異なっていたり、広報&営業活動をおろそかにした他、業績が不調でもスタッフに当初、宣言した給料を払い続けたりと、1年も経たない内に貯金も底をつき、有限会社を整理して再出発することになりました。


■過去の失敗から学び、ブレない理念で再出発
 「重要な失敗をしたので、これを糧にするしかない」と竹村さんは、新たにお弁当屋さんを始めます。前回の反省を生かしての事業は、1日の売上が5万円から10万円に、さらに15万円、20万円にと伸びていきます。「ただガムシャラに働いていた。やるしかなかった」と竹村さん。そんな彼を支えたのが、障がい者にちゃんとした働き口と賃金を提供したいという理念でした。
 また、過去の失敗から
 1. 障がい者や福祉を謳い文句や言い訳にしない
 2.一定レベルの利用者の時給を高知県の最低賃金以上にする
 3.障がい者に理解がある福祉関係者や知人を避けて、一般の人をターゲットにすることで品質やサービスに緊張感を保つ
 4.現場のスタッフには、福祉関係者を配置しない
を強く意識したそうです。
 1、3、4については障がい者や福祉を掲げることで一般のお客さんに先入観を与え、サービスや品質が低くても「障がいを持っている人だから」と甘く判断されてしまうから。後で障がい者が働いていると知っても、サービスや品質がちゃんとしていればお客さんは受け入れてくれるそうです。
また、福祉関係者は優しいけど知識がある分、「こういった作業はできないだろう」と可能性を摘んでしまう、知人が頻繁に来店することで障がい者に甘えが出てしまうことを避けたかったからと竹村さん。
実際、うどん打ちは無理だろと周囲から思われていた障がい者が習い、熱心に作業を繰り返す内に技術を習得。現在、系列店に出荷している麺を作っているそうです。
 2は自分の仕事が正当に評価され、見合った賃金を受け取ることで、仕事に対するやる気が上がっていくからだそうです。


■自分たちのような団体が必要とされない社会に
 現在、同グループでは約100人の障がい者が就労しています。ここでの就業を経て、ホテルやドラッグストアなどの一般企業に就職する障がい者も毎年10人以上居ます。
 「一般企業1社が10人の障害者を無理に雇用しなくてもいいんです。1社が1人雇用する、それが100社に広がると100人の雇用が生まれる。そういった社会になれば、僕たちのような事業所はなくなることでしょう」と竹村さんは話します。
 また、「特定非営利活動法人 ワークスみらい高知」では、就労できるレベルまでに支援する職業訓練施設「就労支援センター みらい」を立ち上げ、障がい者や養護学校の卒業生を受け入れ、研修を行っています。


■芸術を通して、障がい者と一般の人の交流を深めたい
 竹村さんは今秋オープン予定の藁工ミュージアムに携わっています。高知市の中心を流れる江ノ口川沿い、土佐漆喰の白壁が美しい藁工倉庫。藁を貯蔵するために作られた倉庫を美術館として再生し、地域の再生や経済の活性化をも視野に入れた本プロジェクト。芸術の伝統的な訓練や教育を受けることなく、創作意欲につき動かされ生まれた美術作品の保存、公開が計画されています。
 その中に、障がいを持った人が制作した作品も展示したい。また、スタッフにも障がい者を起用することで障がいを持った人と一般の人たちの交流が広まっていくはずと竹村さんは意気込んでいます。

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■自身の原点である場所から、さらに頑張っていきたい
 「福祉を意識するきっかけとなった帯屋町に土佐茶カフェをオープンし、自身の原点とも言える場所に帰ってきた。障がいを持った人がこの町の風景に違和感なく溶け込める。そういう社会を目指して、また頑張っていきたいですね」と竹村さん。
 今後は障がい者の支援の他、「土佐茶カフェ」や「藁工ミュージアム」などを活かして高知をも活気づけたいと話す竹村さんの姿が印象的でした。

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(竹村利道プロフィール)
1964年、高知県生まれ。1988年よりソーシャルワーカーとして地域の障がい者支援を行う。2003年に「特定非営利活動法人 ワークスみらい高知」を立ち上げ、自ら事業者として、弁当やケーキなどの製造・販売を通して、障がい者の就労機会、自立支援を行う。現在、グループ全体の年商や約4億円超。現在、藁工ミュージアム(2011年秋オープン予定)の立ち上げにも参加している。

<NPO法人ワークスみらい高知>
 高知県高知市梅ノ辻9-9
 TEL:088-879-0345
 FAX:088-879-0346

【主な事業内容】
障害者福祉事業
【従業員数】180名 
HP http://www.worksmirai.com/
 

posted by shikoku at 13:57| 大切にしたい会社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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